5つの自由は時と共に拡充されてきました。例えば、第一の飢え・渇きからの自由について、EUでは飼料に抗生物質、肥育ホルモン剤、成長促進剤を添加することが全面的に禁止されています。動物は、単に飢えと渇きだけではなく、不適切または有害な飼料添加物からも保護されています。ニーズに配慮した適切な飼料を与えられることで、家禽も病気にかかりにくくなっています。ヨーロッパでは、家禽が良質かつ必要な量の水を飲めるように配慮して飼育されなければなりません。ポーランドを含めた一部のEU加盟国では、人間の飲料水と同等の品質の水を動物にも飲ませることが義務付けられています。
次に重要なのは、不快からの自由ですが、これは本来の行動がとれる自由とも深く関連しています。EUは動物の飼育環境と福祉について厳しい要件を設けており、飼育施設では動物の飼育密度と飼育場所の配置について、定期的に獣医検査がなされます。大部分のEU加盟国において、農家は動物の飼育数をインターネット経由で報告することが義務付けられています。報告された飼育数は、獣医検査により確認を受けます。養鶏の場合、1平方メートルあたりの合計重量は33kgを超えてはなりません。
EUでは、痛み・傷害・病気・恐怖・抑圧からの自由を保護すべく、家畜・家禽が獣医医療と適切な扱いを受ける権利を持つとされています。飼育農家には、動物を適切な状態で世話をする義務があり、要件を満たさない場合は、動物は農家から救出(没収)され、農家は罰金または営業停止の処分を受けます。恐怖・抑圧からの自由を保護するため、動物を扱う人員を対象として、動物の適切な飼育環境についての研修がなされることになっています。ヨーロッパの飼育業者は、動物の福祉や本来の行動に配慮して飼育場所の配置、空気の湿度、温度、流速を調整することで、着実にストレス要因を低減してきました。