ヨーロッパのパスポートを持つ家禽
23 / 04
2024

東南アジアへの輸出拡大に向けた協力推進

東南アジアへの輸出拡大に向けた協力推進

ポーランド産鳥肉がまもなくアジアの食卓に登場

「我が国の鳥肉生産量は年間。これに続き、ドイツとフランスがそれぞれ170万トンを生産しています」…東南アジアへの輸出拡大に向けた協力推進セミナーでポーランド家禽産業協議会(KRD-IG)のダリウシュ・コシチンスキ理事長はこう説明しました。そして、上質なポーランド産鳥肉は、日本や香港といったより要求度の高い市場でも受け入れられていると補足しました。

日本と香港の輸入業者は、「ヨーロッパで愛される鳥肉」という販売促進キャンペーンの一環で、ポーランドへ視察に招待され、同国で先端技術を駆使した生産体制、品質へのこだわり、生産基準の厳格な遵守を自らの目で確認しました。

KRD-IGがヨーロッパの鳥肉生産業者向けに主催した東南アジアへの輸出拡大に向けた協力推進セミナーには、日本と香港の輸入業者も招待され、参考意見を求められました。農業農村開発省での会合では、生産業者たちに日本と香港の市場について実務的な説明がなされました。

「EU加盟をきっかけとして、ポーランドの家禽産業は成長を続け、欧州を代表する先端的な生産体制を確立してきました。ポーランド産食品は厳格な基準を守りつつ、強い価格競争力も維持しています」と、農業農村開発省国際協力課のマグダレナ・ジェラズナ氏は述べ、ポーランドは鳥肉生産・輸出を得意としており、2023年の輸出高は41億ユーロにのぼると説明しました。

KRD-IGは、ポーランドで農場から食卓まで鳥肉生産と流通に関わる100以上の業者を支援すべく、EUの助成を受けてヨーロッパで愛される鳥肉キャンペーンを実施しており、国内輸出業者の9割も代表しています。

ヨーロッパで愛される鳥肉キャンペーンはEU産鳥肉の認知度を高めることを目的として実施されています。

「EUは製品の品質を高く維持していると認識されており、域内では食品の品質を守るだけでなく、家畜への配慮を義務付ける法律も導入・遵守されています」と、ダリウシュ・コシチンスキ理事長は力説しました。

日本と香港の輸入業者を交えたセミナーで、ヨーロッパの鳥肉生産業者を後押ししたのは、ポーランド投資貿易庁と獣医監督庁による発表でした。どのような公的支援を受けられるのか、担当者から直接説明がなされました。

「業者ごとに輸出力を分析し、今後の方向性を探るお手伝いをしております。対象市場についての情報を提供し、進出の意義を説明し、商談の機会を設け、取引先を探すのをお手伝いします」と、ポーランド投資貿易庁を代表してパトリク・シュチョトゥカ氏が説明しました。

獣医監督庁で動物性食品と飼料の安全性、薬剤、廃棄を統括するパヴェウ・マイヤー副長官は、ポーランド産食肉の日本・香港向け輸出に対する家畜衛生要件を説明したうえで、鳥インフルエンザに対する予防対策としてのポーランドなどのEU加盟国からの輸入停止が解除されると予告しました。

「2024年4月5日、ポーランド獣医監督庁は、国際獣疫事務局に対し、家禽における高病原性鳥インフルエンザが発生していないことから清浄化宣言を提出しました」と、パヴェウ・マイヤー副長官は説明しました。

清浄化宣言は、2023年12月7日から2024年3月2日にかけて、ポーランド国内で然るべき防疫措置が実施され、正しく完了したことを受けて提出されました。国際獣疫事務局の陸生動物規約第10.4.6は、然るべき監督の下での防疫措置を正しく完了してから28日後に清浄国(地域)の認定を回復できると定めています。ポーランド当局は家禽における高病原性鳥インフルエンザに対して、殺処分、感染死または殺処分した家禽の死体処理、農場の清掃と消毒といった然るべき防疫措置を講じました。発生農場の周辺には制限区域が設けられました。ポーランドはEU加盟国として、家禽または野生鳥の飼養農家に対する監督制度を実施しています。

「現在、ポーランドでは、家禽における高病原性鳥インフルエンザに対する防疫措置としての家禽、鳥肉、鳥肉製品の移動・搬出制限は課せられていません」とパヴェウ・マイヤー副長官は強調しました。

セミナーには、日本と香港へ食肉を輸出している業者も参加し、輸出に際する注意点、取引先との協力関係構築に向けた課題や機会について説明しました。

「日本の取引先は意思決定に時間がかかり、高い品質ときめ細かい対応を求めてきます」と、日本へ加工肉を輸出している加工施設経営者ミハウ・タベルスキは説明し、「500グラム包装に慣れたヨーロッパの感覚からすると意外ですが、もっと小さな包装で流通しており、クレームには1件ずつ顧客に有利な条件で対応しなければなりません」と付け加えました。

マチェイ・ウォイェク氏は、香港市場についての発表で、産業が発展した香港では作物栽培・畜産に向いた農地が残っておらず、食品はもっぱら輸出に頼っていることを指摘しました。

「中華料理では、鶏、鴨、七面鳥をいろいろな形で調理しますので、輸出拡大が見込まれます。香港は本格的なアジア市場進出に向けた重要な足掛かりです」と、ウォイェク氏は発表を締めくくりました。